わたしたちのカラダの隅々まで
酸素や栄養などを運んでくれる大事な「血管」
明日の元気と健康のため
「血管」のナルホドを学びましょう!
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従来から動脈硬化は根本治療ができない病態と云われてきました。一方で高血圧や高血糖、脂質異常症が動脈硬化の原因になることは、広く知られています。そのため、血圧や血糖値、LDLコレステロールを低下させる優れた薬の開発が進みました。ところがいくら血圧、血糖値やコレステロールを、適正値に抑えても発症を止めることができないことも、わかっています。これを残存リスクと呼んで、専門医や研究者が懸命にそのメカニズムや低減方法を模索しています。2000年頃から、血管そのものの硬さや性質を評価する技術が開発され、血管年齢検査として、一般にも知られるようになりました。血管の硬さを年齢に換算することで、一般の人たちが、自身の血管の状態を理解しやすくなり、生活習慣改善の動機づけに有効とされています。
最近、医療の世界でも画像解析を中心にAI(人工知能)の利活用が急速に進んできました。心血管疾患の発症予測においても、古典的な多変量解析に代わって、深層学習による予測の有用性が、多数報告されるようになりました。10月の日本高血圧学会総会では、パセーサの血管指標API,AVIを用いて、血圧、血糖値、LDLコレステロールなどと併せてAIによる解析を行うことで、動脈硬化の根本治療に結びつく可能性について、研究発表が予定されています。従来のガイドラインによる動脈硬化の診断・治療法は、今後AIと血管指標の導入によって、個別的かつ根本的な治療法へ、急速に発展していく可能性があります。家庭用パセーサの製品化により、世界に先駆けて動脈硬化の日常的な見える化が社会実装され、その根本治療を通じて、健康寿命延伸に大いに貢献できることを期待しています。
わたしがTVの開発の仕事をしている頃に、某T社さんの自分と似たような経歴を持つTVエンジニアの方と仕事をしたことがあります。TVの開発段階では絵や音が綺麗に出ない、音が歪むなど様々な問題が出てきます。
ある時、試作品のTVで映像に縞模様が入ってしまう問題に、共同で対策を練る機会がありました。T社さんは積極的な方でどんどん提案をしてくれて、様々な方法を試していくのですが、その順番も内容もわたしが考える方法と殆ど同じで、思わず苦笑してしまいました。これは業界に関わらないことだと思いますが、10年、20年と類似の課題に深く向き合うことで、誰もがその道で特異な能力が身につくことの証拠と思います。
残念ながら今の若い人たちには、その機会や余裕さえ与えられない状況があるように思います。解決にかかる時間や失敗を許容できる余裕や大事さを少しでも渡せるよう、自分たち高齢世代はより頑張らないといけないと思います。
最近の健康番組では「血管の重要性」が強調されています。高血圧や糖尿病が社会問題とされるのは、これらが血管にダメージを与え、その結果、心臓病や腎臓病、認知症などの臓器障害の原因やリスクになるからです。
「人は血管とともに老いる」という言葉は、100年前にアメリカの著名な医学者ウィリアム・オスラー博士が述べたものです。現在の血圧測定の原理もこの頃に生まれ、当時から研究者には血管の重要性が認識されていました。
「血管年齢」という言葉は、東京医科大学名誉教授の高沢謙二先生が動脈硬化指標の重要性をわかりやすく一般の人に伝えるために考案したものです。この概念は日本で広く知られるようになり、最近では海外でも「Vascular Age」として注目されるようになっています。
高血圧も血管(動脈硬化)もサイレントキラー(沈黙の殺人者)であり、発症するまで自身はその存在やリスクを認識できません。「見えないリスクを見える化する。」100年の時間を経て、日常的に血管年齢を知ることができる社会はもうすぐのところまで来ています。
私は過去にパイオニアという音響・映像機器メーカーに2年ほどお世話になった経歴があり、その関係で独立後も1990年代初頭から薄型ディスプレイの仕事をいただいていました。プラズマディスプレイは残念ながらLCDとの競争に敗れ、すべてのメーカーが撤退してしまいましたが、自己発光型のディスプレイである反応速度の速さや大型化のし易さ、高いコントラスト比など、TV局の基準モニターなどにも採用される高画質が特徴でした。一方で高精細化や消費電力などの点で、当時の技術では限界がありました。
そのプラズマディスプレイの用途開発ということで、教育用のディスプレイにタッチパネルを付けた電子黒板(電子情報ボード)の開発を1998年から手掛け2000年には量産へこぎつけました。これは赤外線をX-Yにスキャンして光の網目を作り、指などで遮光された座標を計算してPCへ転送する機器でした。電気は目には見えませんが、赤外線も見えないため、このタッチパネルで書いた描画の反応が悪かったり、直線が揺らいだり、日差しが当たると書けなくなってしまったりと様々なトラブルが発生しました。目に見えない電気や非可視光の挙動を想像しながら課題を解決していった経験は、その後、目に見えない生体情報を取り扱う医療機器の開発にも役立っていると思います。
[つづく]